リーフィーはボクの犬
こんにちは。
秋田犬と暮らして23年、2頭の秋田犬を天国に見送り、現在2頭の秋田犬、虎毛の『ぱたこ』と赤毛の『こむぎ』との日々を楽しんでいるぱたこ母です。
今日は『リーフィーはボクの犬』をお届けします。
別のページで『リーフィーは穴を掘る』とご紹介させていただきましたが、私の記憶違いでした💦
失礼しました。
正しいタイトルは『リーフィーはボクの犬』でしたので訂正させていただきます!
前作、『たこ焼きぱたこの名前の魔法』はお楽しみ頂けましたでしょうか。
人間によって食べ物の名前を付けられ、特別な力を持ったこむぎとぱたこのおはなしです。
まだお読みでない方は、ぜひ読んでみてください。
↓↓↓
それでは、白い秋田犬と六歳の男の子のおはなしです。
『リーフィーはボクの犬』
リーフィーはボクの犬。大きな大きなボクの犬。
初めてこの家に来た時には、まだボクの方がずっと大きかった。
なのに三ヵ月後には、
リーフィー、六ヶ月、一四十センチ、三十キロ。
ボクが六歳の時のこと。
リーフィーは真っ白な犬。白クマみたいな真っ白な犬。
みんな、怖いって言うけど、ちっとも怖いことなんかないんだ。
思いっきりギュッと抱きしめて頬ずりすると、リーフィーはボクの顔をペロペロとなめる。
けんちゃん、大好きだよって。
リーフィーは穴を掘る。
大きな大きな穴を掘る。
どこにでも、ものすごい勢いで穴を掘る。
水道管までも掘り当てる。
家が壊されてしまいそうなので、リーフィーの小屋の周りはコンクリートで固められてしまった。
リーフィーが穴を掘りたくなったら、ボクは家の前にあるおばあさんの畑に連れて行ってやる。
リーフィーはおばあさんが大切に育てた大根を掘り起こしたり、せっかく植えた花の種をめちゃくちゃにしてしまったりするけど、おばあさんは怒らない。
穴ぼこだらけになった畑を見て、
―― あれ、まあ! たいしたもんだね。
と、いつも驚く。
ある日、リーフィーをボクにくれた親せきのおじさんがやって来た。
―― りっぱな犬になったなぁ、けんちゃん。
おじさんは目を細めながら言った。
―― リーフィーをおじさんにくれないか?
えーっ!
―― おじさんが飼っていたリーフィーのお母さん犬、先月死んでしまってなぁ。おじさん、寂しいんだよ。
―― そうねえ、リーフィーはけんちゃんには少し大き過ぎるものねえ。
えーっ!
リーフィーはボクの弟なのに……。
だから、ボクたちはずっと一緒なのに……。
母さんまでもそんな事言うなんて。
おじさんたちが家の中に入り込むのを見届け、ボクはリーフィーを連れておばあさんの畑へと来た。
リーフィーはしばらく畑の中を走り回ったあと、菜の花にじゃれ始めた。
菜の花の陰に見え隠れする真っ白なリーフィー。
その動きが止まったかと思うと、リーフィーは穴を掘り始めた。
すごい勢いで。
前足二本を交互に動かして。
リーフィーの白い足がみるみる茶色に染まっていく。
リーフィーの白い体が砂だらけになる。
動きを止めると、リーフィーは鼻を突っ込んで穴の深さを確かめる。
そして、鼻の頭を泥んこにして、誇らしそうにボクの方を振り返った。
ボクはゆっくりとリーフィーのもとへ行き、リーフィーに抱きついた。
リーフィーはボクの顔をペロペロとなめる。
泥んこの鼻をボクのほっぺに押し付けて、
けんちゃん、大好きだよって。
ボクも大好きだよ、リーフィー。
ボクたちずっと一緒だよね。
ボクはおばあさんの道具入れの中から小さなスコップを一つ取り出し、リーフィーと一緒に穴を掘り始めた。
大きな大きな穴を掘ろう。
リーフィーとボクがすっぽりと隠れてしまうくらいの。
二人がずっと一緒にいられるように。
ボクは穴を掘る。
リーフィーも穴を掘る。
穴はどんどん大きくなっていく。
ボクは穴を掘る。
リーフィーも穴を掘る。
穴はなかなか大きくならない。
ボクの手にはマメができてしまって、痛くて掘れない。
穴に二人で入ってみると、顔だけがポッコリと出てしまった。
二人が隠れるためには、もっと深く掘らなくちゃならない。
リーフィーはボクたち二人のために、どんどん、どんどん、掘り続けた。
ボクはリーフィーがかいた土を、スコップで穴の外へとすくい出した。
薄暗くなってきた頃、穴はようやく完成した。
ボクたちは穴の中に座った。ぴったりと体をくっつけて座った。
リーフィーは疲れて眠くなってきているようだった。ボクの膝に顔を乗せ、静かにしている。
いい子だね、リーフィー。ボクたち、ずっと一緒だよ。
ボクはリーフィーの頭を何度も何度もなでてやる。
辺りがだんだんと暗くなって来る。カラスの鳴き声も恐ろしい。
ボクは急にとっても悲しくなって来て、涙がこぼれないように顔にギュッと力を入れた。
リーフィーの首に回した手にもギュッと力を込めた。
リーフィーがボクの顔をペロペロとなめてくれる。
けんちゃん泣かないで、って。
とっても悲しそうな顔で。
畑の隅から足音が聞こえる。おじさんの足音だ。
リーフィーを連れにやって来るのかしらん?
ボクはリーフィーを抱く手に一層力を込めた。
リーフィー、静かに! おじさんに見つかったら最後だぞ。
リーフィーにそう目配せした時、頭の上で大きな声がした。
―― よくもまあ、こんな大きな穴、掘ったもんだなあ!
上を向くと、おじさんが大笑いしている。
―― おじさん、リーフィーは絶対にあげないよ!
ボクは出来る限りの恐い顔でおじさんをにらみ付けた。
―― わかってるさ。リーフィーはけんちゃんの大事な相棒だもんな。
おじさんは腰を屈め、リーフィーの頭を軽くなでると、ニヤリと笑った。
―― 今日のところは諦めるとするか。
おじさんは大声で笑うと、片手を上げ、帰って行った。
ボクはおじさんの背中に向かって、思いっきりアッカンベーをした。
ボクとリーフィーは兄弟なんだ。誰にも渡したりするもんか。
なっ! リーフィー。
ボクはリーフィーと一緒に掘った大きな穴の中で、リーフィーに思いっきり頬ずりした。
リーフィーはボクの顔をなめる。
けんちゃん、大好きだよって。
終わり
穴掘りも好きだけど、ボール遊びも大好き
遊びたくてじっとしていられない、こむぎが2歳の時の動画です。
穴掘りもボール遊びも同時にできるように、二つの遊びを融合させて遊んでました(笑)。
リーフィー同様、ぱたこもこむぎも、2代目のらびこも、みんな穴掘りが大好きです!
次回も白秋田犬のリーフィーが登場する『だれが金魚を食べたの?』をお届けします。
このおはなしにはポメラニアンのピットも登場します。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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