誰が金魚を食べたの? 第2話
こんにちは。
秋田犬と暮らして23年、2頭の秋田犬を天国に見送り、現在2頭の秋田犬、虎毛の『ぱたこ』と赤毛の『こむぎ』との日々を楽しんでいるぱたこ母です。
「誰が金魚を食べたの?」第2話では、アキに疑われたピットがある作戦を思いつきます。
今回も最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
第1話がまだの方はこちらからどうぞ
↓ ↓ ↓
【 第2話 】
四時になるとケンが学校から帰って来た。
ケンは友だちの家に遊びに行く前に、リーフィーを犬小屋から放してくれる。
友だちと遊ばない時は、ケンも一緒にボクたちと遊ぶ。
この日、ケンは自転車で友だちの家に行ったから、庭にはボクとリーフィーだけになった。
自由になると、リーフィーはすぐに水を飲みにたらいへと走った。
金魚が泳いでいるのを見てどうするか、
ボクがじっと隣で眺めていると、リーフィーは金魚など全く気にもとめず、ガブガブと水を飲み始めた。
おい、リーフィー、気をつけろよ!
金魚まで一緒に飲みこむなよ。
ボクがそう思った瞬間、
出目金がリーフィーの舌にすくい上げられ、口の中へと運びこまれてしまった。
「ゴクン!」
と出目金がリーフィーの喉を通る音が聞こえた。
えーっ!!!
リーフィー、どうするんだよ!
ボクは知らないよ。
次の日の朝、金魚たちがまだ外のたらいの中にいることを知って、アキは文句を言いながらエサをやりに行った。
「この寒い日に、なんで朝から外に出なきゃならないのよ。お母さん、今日中に金魚を水槽に戻しておいてよ! じゃなきゃ、私、もうエサやらないからね!」
そう言い終わるが早いか、すぐに、
「黒出目助がいなーい!」
アキの大きな叫び声が家の中まで響いてきた。
「出目助がいなーい! 出目助がいなーい!」
アキは叫び続けながら、家の中へかけこんで来た。
「お母さん、黒出目助がいなーい!」
お母さんは目玉焼きを焼きながら、
「きっとピットが食べたのよ、昨日狙ってたもの。」
と落ち着いた様子で言った。
ちょっと待ってよ、狙ってただなんて!
ボクは見ていただけだよ。
食べちゃったのはリーフィーなんだから。
アキはわかってくれるよね!
「ひどーい! なんで食べちゃうのよ、このバカ犬!」
わかってくれなかった……。
アキのばかやろう!
どうしてボクのこと信じてくれないんだよ。赤ん坊の時からの仲なのに。
アキは泣きそうになりながらも、パンチをくらわそうとこぶしをふり上げ、ボクを睨んだ。
ひどいのはアキの方だよ。無実のボクを疑うなんて。
弁解したいところだけど、パンチをくらわされたらたいへん。
ボクはいつものように外へ逃げ出そうとした。
けれど、アキはボクの方へ向かっては来ず、ボクが逃げられないように、ボクよりも早く玄関へ通じるリビングのドアの前に立ちはだかった。
あー、なぐられる。
覚悟を決めた瞬間、
「やめなさい、アキ! ピットだって悪気があったわけじゃないんだから。」
お母さんが助け舟を出してくれた。
「なんでよー! 悪気がなければ出目助食べてもいいのー?」
アキは大声で泣き叫びながら、その場に座り込んでしまった。
パンチは逃れたけど、ボクはとっても嫌な気分になった。
アキがあんなにも簡単にボクを疑うなんて。小さい頃からずっと面倒を見てきてやった、このボクを疑うなんて。
もう、ショックで声も出ないよ。
だけど、いつまでもくよくよと落ちこんでいるピット様じゃない。
ボクは名誉を挽回するいい考えを思いついた。
外でリーフィーに話しかける声がする。
アキが学校から帰って来たようだ。
リーフィーはまったくいい気なもんだ。自分が金魚を食べたくせに、知らん顔してアキにしっぽを振って甘えている。
ボクの気持ちなんか知りもせずに。
ここでボクがアキに本当のことを言えば立場は逆転するのに、悲しいかな、ボクは人間の言葉が話せない。
いくらボクが一生懸命話しても、アキには「ワン、ワン」としか聞こえないんだ。
部屋に入ってきたアキにボクもしっぽを振って近づいてみたけれど、まだ怒っているみたいでまったくの無視だ。
ボクはやっぱりあいつらに頼るしかないと思った。
第3話に続く
↓↓↓
リーフィーが愛用していた犬小屋は、今ではシャンプー時にしか利用価値のない代物に成り下がってしまいました💦
この犬小屋は我が家では二つ目の犬小屋です。
一つ目はリーフィーとらびこが愛用し、らびこが亡くなる一カ月ほど前に壊れてしまいました。
現在ある二つ目の犬小屋は、一つ目が壊れた直後に購入したのですが、
何故からびこに気に入ってもらえず、使わずじまいでした。
ぱたこもこむぎも入ろうともしないので、
今ではシャンプー時にリードで繋ぐだけの代物に成り下がっています💦
リーフィーとピットと、庭でバーベキューをした時の懐かしの一枚です!
今日もお付き合い、ありがとうございました。
第3話はこちらからどうぞ
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はじめまして、こむちゃんが ほぼ成犬になった頃より拝見させて頂いている者です(毎日の楽しみ^^)。
今回、らびこちゃんが犬小屋を新調したら入らなくなったとの内容について 似たような事が隣家の
秋田犬でもあった様なので 思わずコメントさせて頂きました。
隣家の広いお庭(脱走防止の内扉有)に 虎毛(オオカミ柄系?)の太郎チャン(2004~2020夏←♪!?)が暮らしていました。
顔は ぱたちゃん似(非ツリ目系)で、性格は おっとり&のんびり屋さんの典型的男子秋田犬(^^♪
そんな太郎が老齢期になった頃になって初めて 私は塀越しに間近に見て&ナデナデして、秋田犬のあまりの
可愛さにビックリ・・・・・以来、自宅にて「秋田犬巡り」を日々しております。
そんな太郎家の庭の縁側には 貴宅のと大変よく似た色形の犬小屋が在り、よく中で寝てました。
しかし雨漏りするようになったので解体処分→同型新品に交換(2019終盤か2020初め)をしました。
・・・・・すると全く使わなくなってしまったようなのです。
そして寝床がなくなった事がショックだったのかは判りませんが 程なくして急速に歩行障害が見れるようになり
(年齢的な事かもしれませんが)、家(玄関&玄関上がり)での生活になった様です…。
慣れ親しんだ寝床や犬小屋を交換する時は 古いのも処分しないでおく等注意が必要なのかもしれませんね。
ブログの「おはなし」、切なくも温かくて楽しみにしています、ヘッダーのぱたこむの絵も大好きです^^。
いつも癒しのひと時をありがとうございます。
インスタ→ akitawan_kazu SNS不慣れにつき ほぼほぼ閲覧専用です?!(基本、フォローなし⇒スミマセン)
kazu
こんにちは!
いつもご視聴ありがとうございます。
お隣の太郎ちゃんもらびこ同様、新居は気に入らなかったのですね(笑)。秋田犬はこだわりが強いですからね!
でも、太郎ちゃんはそのおかげで最後の半年ほどをいつも家族の声の届く場所で過ごせたので、結果的に良かったのではないかなと思います。
kazuさんにとっては目の届かない所に行ってしまったので寂しかったことでしょうが。
「おはなし」も気に入ってもらえ、とても嬉しいです!
ヘッダーの絵は長女が描いてくれました。
これからもよろしくお願いします!
ご返信ありがとうございました♪
太郎チャンについての補足なのですが、足腰が弱り家中での暮らしになったけど、
いつも家族の声がより届く場所で過ごせた・・・となれば、たしかにそれは良かったかもなのですが、、、
実はそうなる約1年あまり前の 2018.12末に1人暮らしの飼い主さん(ご高齢)が
急に亡くなられてまして…..。
以来、娘さん息子さん達が毎日1~2回訪れてはお世話にあたっていたんですよね…。
犬も飼われてるそうでして、何とか太郎も引き取りたいが 諸事情により難しかったようです。
週末にはよくお子さん達も訪れて 庭が賑やかでしたね。
自身は飼い主さん不在になって以降は ほぼ毎日、(気兼ねなく??)塀越しに身を乗り出して
太郎と交流していました。娘さんにお世話を申し出ようか?、とも考えたりもしたのですが
自身の体調不良や そこまで(鍵を預かる程)親密でない事等々あり 言い出せませんでした…。
少し切ない話で申し訳ありませんでした。でもこれも含めて太郎チャンのことを 誰よりも「秋田犬LOVE」な
ぱたこ母さんに想って頂ければ・・・・・と思い 敢えて書かせて頂きました。
毎日夕方定時に鳴る「夕焼け小焼け」に合わせ 綺麗な遠吠えをしてた太郎チャン、
懐かしいなぁ^^
PS: 余談ですが動画で特にお気に入りは ドライブ中のぱたこむの表情動画です(^^♪
太郎ちゃんはそんな切ない晩年だったのですね。
お世話を申し出ようか悩んだお気持ち、よくわかります。太郎ちゃんのことが気になってもなかなか難しいですよね。
きっとそのお気持ち、太郎ちゃんには伝わっていたと思います!
ちょっと創作意欲が湧いてきました(笑)。いつかおはなしに書けたらな!
ドライブ動画、シャンプーに行っていたサロンがお店を閉めてしまったので、最近車に乗ってません
またドライブ動画撮影しますね!
お気に入りを教えて頂きありがとうございます。